店舗・EC LINE連携
「ソーシャルPLUS」LINEログイン 導入事例インタビュー
マドラス株式会社
マドラス株式会社は、革靴を中心にビジネスシューズからカジュアルシューズ、シューケア用品まで幅広い商品を製造・販売しております。
イタリアの靴づくりの伝統を踏襲しながらも、日本人の求める快適な履き心地と機能性、そして美しいデザインを追求し続けてきました。100年以上も続く靴づくりのノウハウは、今もなお受け継がれ、進化し続けています。
マドラス株式会社:https://www.madras.co.jp/
インタビュイー
マドラス株式会社 リテール事業部EC課 係長
深谷 真悟 様
※1 アクティブ率:会員様のうち1年の間に購入のあった方の割合
※2 ECサイト全体のCVR = ECサイト全体の購入数÷ECサイト全体のセッション数 で算出。
マドラスは老舗革靴メーカーとして、代表ブランドの「madras(マドラス)」をはじめ、madrasのセカンドラインとしての「MODELLO(モデロ)」、防水等の機能性に特化した「madras Walk(マドラスウォーク)」という3ブランドを軸として展開しています。
1921年の創業以来、ビジネスシューズを中心に40〜60代の男性にご愛用いただくことが多かったのですが、近年はスーツに限らずセットアップなどカジュアルな装いを楽しむ方が増えており、ファッションのトレンドにも変化が見られます。
そこで、レザースニーカーなどカジュアルなファッションにも取り入れやすい商品も新たに展開し、20〜30代の若い世代や女性のお客様にも様々なシーンで革靴を長くご愛用いただけるような取り組みにも注力し始めました。
2023年には医療用のクリスタルゲルを使用した「メタインソール」を販売開始し、革靴をより快適に履くための商品にも力を入れています。ライフスタイルや価値観が変化する中でも「本物の履き心地」を追求し、長く愛される靴作りを続けています。
私自身はショップ課(直営店舗)、百貨店課を経て、現在はEC課に所属し、主に自社EC/外部モールの運営とECサイトのマーケティング施策全般を担当しています。メインのKGIはECサイトの売上です。コンテンツ制作、SEOや広告による集客のほか、LINE公式アカウントを活用した店舗とECの連携にも注力しています。
マドラスでは、2021年1月に自社ECサイト「マドラス オンラインショップ」を全面リニューアルし、店舗会員とEC会員の一元化や自社物流の最適化を実現しました。
同年6月には、ブランド公式サイト、コーポレートサイトと「マドラス オンラインショップ」を統合し、様々なコンテンツを集約することで、お客様に最適なサービスを素早く提供できる環境を整えました。
さらに次のフェーズとして、店舗とECサイトの連携をより強化するために、店舗・ECを問わず商品を購入したお客様と長期的な接点を持つ手段としてLINE公式アカウントの活用を検討しました。
LINE公式アカウントでは店舗・ECにおいて、それぞれの購買状況に応じて配信を最適化したいと考えていました。これを実現するためには、お客様にLINE公式アカウントの友だち追加とID連携を行っていただく必要があります。
そこで、店舗で接客したお客様にマドラスのLINE公式アカウントを友だち追加いただくと同時に、「マドラス オンラインショップ」の会員登録とLINEのID連携までをスムーズ行えるよう、ソーシャルPLUSを利用してLINEログインを導入しました。
LINEログインを導入したことで、ECサイトはもちろん店舗での会員登録も簡単になりますし、LINE公式アカウントのリッチメニューからパッと簡単に会員証を提示でき、スムーズにお買い物をしていただけるようになりました。
靴は「今日買ったらまた来月も買う」という商材ではないからこそ、お客様と長いお付き合いをしていくことが重要です。
だからこそ、ECサイト利用時や来店時にLINEログインでスムーズに会員登録やLINEの友だち追加ができる仕組みを整え、利便性を高めながらLINE上でも接点を持てるようになったことは、大きな成果だと感じています。
LINEログイン導入から3年(2022年4月から2025年3月)で、LINE公式アカウントの友だち数は6.6倍に増えました。
直近1年間(2024年4月〜2025年3月)の友だち追加経路の内訳では、LINEログイン経由が43%と最も多いです。
ECサイトでも店舗でも商品を購入する流れでLINEログインを利用し、会員登録と同時に友だち追加とID連携をしていただくケースが多くなっています。
施策として効果が大きいのは、ID連携で使えるクーポンの配信です。
その他にも、LINEログインで新規会員登録するとポイントをもらえるキャンペーンをお知らせしたり、友だち追加後のあいさつメッセージでID連携の方法や連携するメリットをご案内したりしています。
リッチメニューの1タブ目にも「新規会員登録・ID連携」のメニューを設置していて、このメニューをタップすると、応答メッセージでID連携の方法が自動で案内されるようになっています。
ECサイト上でもWeb接客ツールを活用し、お客様がマイページにログインした時にID連携を促すポップアップを表示するようにしています。
ソーシャルPLUSのブログにも、購入完了後のサンクスページで友だち追加を促すのが効果的というお話がありましたよね。それと同様に、ログインしてマイページまで来ているお客様はモチベーションが高いので、そのタイミングでID連携を促すのが効果的だと考えました。
こうした施策の効果もあり、友だち数・ID連携数共に順調に伸びています。
店舗にもよりますがマドラスではお客様にはソファーに座っていただき接客を行うので、ソファーに会員証発行(LINEログインで会員登録)のQRコードを設置してご案内しています。あわせて、レジ前にもQRコードを置いています。
銀座のマドラス旗艦店等の店舗に定期的に訪問して、普段どのように接客や会員証のご案内をしているかヒアリングしながら、より良い伝え方やオペレーションを検討し改善するようにしています。
私自身も以前はショップ課(直営店舗)、異動後百貨店課に所属し、リアル店舗にて販売をずっとやっていたので、店舗スタッフの立場としては店舗の売上という絶対的な指標がある中で、ECサイトの会員登録促進はどうしても優先度が下がりがちになる場面もあるのだろうと感じています。
だからこそ、ID連携により個々のお客様へよりパーソナライズされた情報発信が可能になり、それがECでの購入や店舗への再来店へと繋がることを伝えています。
店舗での会員登録・友だち追加数も非常に増えているので、ここは今後さらに伸ばしていきたいです。
1年間のアクティブ率※を見ると、ID連携ユーザーのアクティブ率は、未連携ユーザーの1.3倍です。
LINEログインでID連携しているお客様は、もともと店舗やECサイトを積極的に利用されている方が多く、エンゲージメントが高い傾向にあります。
そうした購入意欲の高いお客様に対し、ID連携によって購買行動に応じた情報提供やLINEログインを利用したスムーズな購買体験を提供できていることが、アクティブ率の向上に寄与していると感じています。
※1アクティブ率:会員様のうち1年の間に購入された方(=アクティブユーザー)の割合
お客様との自然な接点を生む手段として、タブ型リッチメニューが特に効果を発揮しています。
タブ型リッチメニューはソーシャルPLUSのMessage Managerを利用して導入しており、「コンテンツへのアクセスのしやすさ」と「お買い物のしやすさ」の二つを心がけています。
「コンテンツへのアクセスのしやすさ」という点では、2タブ目にマドラスジャーナルというメディアやECサイトでよく見られている人気コンテンツを掲載しています。
「シューズランキング」や「スタッフスタイリング」など、お買い物の参考になるメニューも設置しており、「シューズランキング」は特に女性の方に人気です。
「お買い物のしやすさ」という点では、先ほどお話ししたログイン・会員証のメニューを1タブ目に設置し、LINEから簡単にログイン・会員証提示ができるようにしています。
他にも、応答メッセージと組み合わせた「商品を検索」のメニューも好評でよく使われており、特に男性の方に人気です。
「コンテンツへのアクセスのしやすさ」と「お買い物のしやすさ」を意識してメニューの構成を工夫したところ、リッチメニュー経由でLINEログインをした場合のCVRはECサイト全体のCVRの2倍※2となっており、特に1タブ目からの売上が増えています。
リッチメニューは直感的に操作できるので、お客様が能動的に動いた時、つまり「欲しい」と一番感じる瞬間を取りこぼさないという点で効力を発揮しやすいと感じています。
※2 ECサイト全体のCVR = ECサイト全体の購入数÷ECサイト全体のセッション数 で算出。
これはLINEを活用してみて得られた気付きでした。LINEで展開する施策は即時性が高く、反応を得られるスピードも早いのが特徴です。
マドラスのLINE公式アカウントは、商品購入をきっかけに友だち追加とID連携をしていただくことも多いので、お客様の属性ごとの購買行動やお客様がどんな情報を求めているのかといったインサイトを把握する上でも有効な場になっていますね。
リッチメニューの施策で得られたインサイトとして、男性のお客様は目的を持ってお買い物をされる傾向があり、「商品を検索」メニューのように、目的の商品に効率よくたどり着ける手段が好まれるということがわかりました。
一方、女性のお客様は、新たな発見やお気に入りを探す過程を楽しむ傾向があり、「シューズランキング」もその一つの参考としてご覧いただいていると考えられます。
こうしたインサイトをもとに、メッセージの出しわけを工夫したり、ECサイト側の導線にも反映させたりしています。
逆に、ECサイト上で「この特集が伸びている!」というものがあれば、すぐにリッチメニューに掲載して反応を検証してみたりと、GA4や他ツールにてサイトの動向を分析するだけでなく、スピード感を持って様々な施策を試すことが可能になりました。
メッセージ配信はLINE Official Account Managerの標準機能を主に活用しており、以下のパターンで配信することが多いです。
・インプレッションリターゲティングを活用した絞り込み配信
・年齢などの属性に応じた絞り込み配信
インプレッションリターゲティングは、特定のメッセージを開封した人だけにメッセージを送れる機能です。
まずはクーポンを配信し、それを開封した方だけに、後からコラムページやスタイリングのコンテンツを配信したりしています。リアル店舗で接客するように、LINE上でも「こんな商品はどうですか?」とご提案しながら、お客様にショッピングを楽しんでいただけるような配信を意識しています。
メッセージを開くとトーク画面上にはリッチメニューも表示されるので、クーポンのメッセージを受信後、そのままリッチメニューにある「商品を検索」メニューからスムーズに好みの商品を探せる導線になっています。
20〜30代、50〜60代など年代ごとにスタッフのスタイリングをピックアップし、カードタイプメッセージで配信しており、これは特に女性の方の開封率が高いです。
そうですね。「マドラス=男性向けの革靴」というイメージを持つ方は、まだ多いかもしれません。
だからこそ、女性のお客様には機能紹介だけでなく「どんなスタイリングに合うか」まで伝えることで、「マドラスにはこんな商品もあるんだ」と気付いていただけるような配信への反応が良い、という気付きもLINEを通じて得られました。
店舗スタッフのスタイリングコンテンツはブランドにとって大切なリソースの一つです。EC購入での納得感や、「このスタッフに接客してもらいたい!」というデジタルを通じた店舗送客としても力を発揮してくれます。
メルマガと比べて、LINEは配信数に対する流入数が多いです。月間の配信数に対する流入率で見ると、LINEはメルマガの約8倍です。
マドラスは40〜60代のお客様が多く、メールの開封率は一般的なアパレル業界の数値と比べても高めで、メルマガ経由の流入や売上も堅調です。
一方で、情報をよりダイレクトにお届けできることや、店舗施策との連動がしやすいことは、LINEならではの強みだと感じています。
他ブランド様もそうかもしれませんが、マドラスのお客様も「店舗派」と「EC派」に分かれる傾向にあり、メルマガだけではEC利用のお客様にしかリーチしづらいという課題がありました。
特に店舗派のお客様は、ECサイトやメルマガなどのデジタルに触れる機会が少ないということもあり、「レビュー投稿でポイントプレゼント」といった訴求もなかなか届きませんでした。しかし、同じ内容をLINEで配信したところ、店舗利用のお客様にもリーチできるようになりました。
LINEなら、普段デジタルに触れにくい方にも自然にリーチできる。このメリットを改めて実感しています。
「お客様にとって心地よい接客のような配信をする」という点は、これからも変わらず大切にしていきたいと思っています。
マドラスには、ビジネスシューズからカジュアルシューズまで、男性・女性問わず幅広いラインナップを展開しているため、お客様の興味関心に合わせた提案をする必要があります。
LINEログインの導入により、ID連携したお客様の属性や購買行動に基づいた配信が可能になったので、今後は購入いただいたブランドや商品を軸にした配信はもちろん、あえてブランドやカテゴリを横断した配信にもチャレンジしたいです。
例えば、レザースニーカーをご購入いただいた方に「カジュアルに履けて歩きやすいローファーはいかがですか?」と提案してみるなど、革靴を様々なシーンで楽しんでいただけるような配信に取り組んでいきたいですね。
最終的には、お客様の購買行動をもとに「この商品を買った方が次に興味を持ちそうなものは何か?」を分析し、それをLINEのステップ配信で届けられるようにしていけたらと考えています。
ありがとうございます!効果的なLINE活用の方法はぜひ知りたいので、今後も情報をいただけると嬉しいです。
弊社としても、今後さらにLINE経由の売上を伸ばしていきたいと考えていますし、LINEはOMO施策にも有効活用していきたいです。
例えば、LINEでノベルティをご案内し、その受け取りを店舗で行っていただくなど、ECと店舗の双方にメリットがある形で連携を強化していきたいですね。
※記事の内容は掲載時点(2025年3月時点)のものです。
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