ソーシャルPLUS社には、定期評価がありません。従業員(アルバイト含む)が給与を上げるためには「等級審査」を受けて昇級の判定を受ける必要があります。
この記事では、等級審査とは何か、実際に審査で従業員の等級がどのように変わったのかを、データや昇級した人のインタビューとともにお伝えします。
2018年までは、半年に1回の定期評価を行っていました。しかし、定期評価では下記3つの課題がありました。
そこで、定期評価をやめて2018年に導入されたのが等級審査です。
等級審査では、立候補やマネージャー推薦をきっかけに、自分のタイミングで審査を受けることができます。職種ごとの評価基準は「キャリアパス(等級表)」という名前で明文化され、社内に公開されています。詳しくはこちらへ!
※現在のソーシャルPLUS社には、記事内に記載されている「定期昇給」がありません
等級審査の流れは、図のようになっています。
ソーシャルPLUS社では、マネージャーと月に1度1on1を実施しています。この時に、自分の職種のキャリアパス(等級表)に照らした現在地と、あと何を達成すれば審査を受けるのに妥当かをざっくばらんに話します。*
* ソーシャルPLUS社では、1on1の話題をマネージャーではなくメンバー側が決めることが多いです。1on1で、キャリア以外の話をすることもよくあります。
審査を受けるのに妥当なパフォーマンスが出せるようになったら、自己応募またはマネージャー推薦で立候補します。マネージャーはメンバーの昇級を支援する立場なので、審査前はプレゼン資料のレビューなどを通して、昇級に繋がるようサポートします。
等級審査本番では、4〜5名の審査員に対するプレゼンテーションと質疑応答が行われます。審査員は役員やマネージャーなどが務め、立候補者が昇級するべきかどうかを判断します。主に同じ職種の審査員が専門性を中心に判断し、普段一緒に仕事している近い職種の審査員がチームワークなど別の観点で判断することが多いです。
また審査の結果に関わらず、審査を受けた人には必ず、審査員からのフィードバックコメントがPDFで届きます。フィードバックを通して、会社の成長と個人の成長のベクトルを合わせています。
昇級が決定した場合は、翌月25日から新しい給与テーブルでの支給が始まります。
等級審査の制度で、実際に昇級できるかどうかが気になりますよね。ここでは、2021年9月の分社化以降の等級変化をご紹介します。
安定的に実力を発揮できるようになる、在籍3年以上の人の昇級率が高いことが読み取れます。
0〜3年目の昇級率が少なく見えますが、これは分社化後の2021年から中途採用を加速させ、入社3年目までの中途入社の人が多くなっているためです。入社3年未満でも、既に昇級した人や記事執筆時点で審査準備中の人は複数います。
なお分社化後、在籍3年未満で退職した人は2名です。
今のところ、等級審査を受けた人は全員昇級しました。一見、審査が楽勝なように見えるかもしれません。しかし実際はキャリアパス(等級表)に照らして客観的に審査される分、しっかり準備して臨む人が多いようです。
等級審査を受け、昇級したメンバーに話を聞いてみました。
大西:これまで全て、マネージャー推薦がきっかけです。直近の等級審査も、マネージャー(社長)との1on1の終わり際に「そろそろ等級審査を受けたらいいんじゃない?」と声をかけてもらったのがきっかけでしたね。
mashabow:自分もきっかけはマネージャー推薦です。マネージャー(取締役CTO)との1on1で同様に言われて、なんとなく腰が重くて準備できずにいたら、最終的に社長の岡田さんからもSlackのDMが来てしまって、やっと着手しました。その後も、マネージャーの佐藤さんから「等級審査準備」をPBI* に入れられてしまって、毎日のチーム朝会で進捗確認を受けていました。
* プロダクトバックログアイテムの略。チーム開発におけるTodoリストに載っている項目のこと。
自分の状況や、準備が大変だという気持ちをみんなと共有できて良かったのですが、腰の重さは真似しないでほしいです……!
大西:私も岡田さんからSlackのDMでリマインドされていました(笑)
マネージャーから推薦されるタイミングは、成果が出ていて仕事が特に楽しく感じる時期と重なりがちなので、審査準備よりも目の前の仕事を進めたいという欲が強くなってしまうんですよね。昇級すれば給料も上がるし、即座に責任が重くなって困るようなことも無いので、審査を受けた方がいいのは頭ではわかっているのですが……。
mashabow:まずは時間のやりくりですね。等級審査の準備は業務時間内で行うものですが、通常業務が盛り上がっていると、大西さんと同じく優先度が相対的に下がってしまいます。
また心理的にもハードルを感じました。自分は自己PRが得意ではないし、何をアピールしたらいいのか分からないこともありました。よく分からなくて工数がかかるものを頑張るよりも、開発していた方が楽しいと思ってしまうんですよね、正直なところ。
大西:等級審査の場では「自分がやってきた仕事やチームでの役割」を伝える必要もあるので、直近やってきた仕事を自分の日報やSlackを遡ってまとめて、「どのエピソードを中心に、どの粒度で話そうか」とあれこれ考えるのに時間を使いますね。
私も一人だとなかなか筆が乗らず、普段一緒に働いている他職種(カスタマーサクセス)の同僚から「あの仕事の話も盛り込んだらいいんじゃない?」「他職種の審査員に伝わるようにここも補足しよう」など助言をもらいながら骨組みを作っていました。
mashabow:多少は緊張しますが、割と暖かい雰囲気だと思います。審査員も普段から社内で接している相手ですし、多少の細かいミスがあっても大事な部分は伝わると信じてプレゼンしました。
逆に自分が審査員として等級審査に参加することもありますが、プレゼンターを心の中で「頑張れ〜!」と応援しながら聞いています。
大西:「審査してやるぞ!」という威圧感は感じず、暖かい雰囲気の中でプレゼンさせてもらえていると思います。
他のチームのマネージャー層から、仕事やプレゼンのフィードバックをもらえるいい機会ですね。今の自分に足りていない視点を補ってくれますし、「次はこの領域にチャレンジしてみよう!」というモチベーションにも繋がりました。
総じて、会社・チーム・プロダクトのためになることをやっていれば、それをちゃんと評価してくれるだろうという安心感があります。
mashabow:自分の腰の重さを反省したので、直近の等級審査が終わった後に、自分のプレゼン資料を社内で公開してみました。「こんな感じでいいんだ」と参考にしてもらえれば、と思って。
もっと気軽に受ける人が増えたらいいなと思います!
大西:mashabowさんの資料公開を見かけた時「すごくいい!」と思って、私も同職種(マーケター)の後輩に自分の等級審査資料を見せたりしています。こういうメンバー同士でのフォロー体制もどんどん改善していきたいですね!
会社として、等級審査の課題だと思っている部分もあります。
1つ目は、メンバーの声にもあった通り、審査準備が後回しになってしまう人がいることです。
審査を受けられるだけの成果を安定的に出していても、本業を優先させるあまり、審査準備の優先度が低くなるケースがあります。ソーシャルPLUS社に、キャリアアップに対してガツガツしたタイプのメンバーが少ないからかもしれません。
現時点では、マネージャーからの働きかけによって、優先度を上げることがある程度できていますが、自発的に審査を受ける人も増やしたいです。
2つ目の課題は、キャリアパス(等級表)のアップデートが実態に追いついてないことです。
環境やプロダクトのフェーズが変われば、職種に求められる役割も変化しますが、常にリアルタイムでキャリアパスを更新できているわけではありません。今は会社規模が30人程度とコンパクトなので、マネージャー(役員)とメンバーの1on1などで個別にすり合わせができています。しかし将来会社の人数が増えたら、運用でカバーするのも難しくなりそうです。
また、抽象度の高い仕事が求められる等級だと特に、キャリアパスをキッチリと当てはめて杓子定規に評価すべきとも限りません。現時点の差分は近い将来アップデート予定ですが、その後も更新し続けていきます。
等級審査関連で気になることがあったら、カジュアル面談等で遠慮なくおたずねください。
お読みいただきありがとうございました!